松尾幸作選手

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「この10年背中の改造に注力してきた」松尾幸作の2年間の筋肉強化ポイント

2019年全日本選手権にて念願のファイナリストの座を勝ち取った松尾幸作選手に、ゴールドジムイオンモール熱田アネックスにて背中トレを見せていただき、お話を伺ってきました! (IRONMAN2021年10月号より)

取材・文・撮影:岡部みつる

この10年背中の改造に注力してきた!

──2021年シーズンも佳境に入り、日本選手権も迫ってきました。大会が開催されなかったこの2年間での強化ポイントを教えてください。

松尾幸作選手

松尾幸作選手の大迫力のトレーニング写真

松尾 この競技は欠点を作ったらダメだと思っていて、いかに減点されない身体を作り上げるかが勝負だと思っています。2年間というよりもこの10年くらいずっと、背中の強化に努めています。「強度がダメなら頻度で攻めるしかない!」という思いから「小セット数の多種目」で取り組んでいます。今のルーティンは、月曜が腕、火曜にオフ、水曜が背中、木曜に胸、金曜にオフ、そして土曜日が脚、日曜日には肩と背中をやります。土曜日に脚をやって上半身が休めているので、日曜日の午前中には肩と背中をやります。このときの背中は上背部だけですね。僧帽筋なども含めて3種目を3セット程度で合計10セットくらいやります。次の月曜日の夜までには1日半空くので、上半身で連続はしますが腕なら回復も早くできると思い、月曜に行っています。火曜日にオフを入れているので、水曜日の背中のときにはフレッシュな状態で全力で取り組めるように考えています。この背中だけの日は、3セット9種目にバックエクステンションを加えて合計30セット程度、1時間30分くらいです。背中に関しては、皆さんからずっとご指摘をいただいています(笑)。広がりが出ないっていうか、広がらないんですね。大円筋、小円筋、広背筋のボリューム感が乏しいのと、じゃあ密度感があるのかっていうとそうでもない……。バックポーズで、ハムは良いけど背中の欠点を指摘されることが多く、改善が必要でした。「これがいいよ!」って言われても自分に効かなきゃ意味がないので、自分がやってみて「入るな!」って思ったものを片っ端からやる方法で取り組んでいます。肩は得意なんですけど、その肩にすぐ入っちゃうんですね。なので、背中に効かせるために肩甲骨を下制させた状態を保って動作するよう心がけています。この方法でやるようになって10年近いですが、ダメ出しが少なくなった分、改善されてきているのかなという気はしています。
――ボディメイクには時間がかかるという、典型的なお話ですね。この2年間で特に心がけた点はありますか?

メンズフィジーク選手のミッドセクションに注目!

松尾 ボディビルを競技として捉えた場合、最初に審査員の目に止まる「リラックスポーズ」はとても重要だと思ってます。ミッドセクションの重要性についてはフィジークの選手などを参考にして取り組んでいます。彼らはツイストマシンを多用していることに気付き、取り入れています。ボディビルダーでやっている人、まずいないでしょ? リラックスのサイドポーズでは外腹斜筋とかすごく大事だと思うので。今まで20年間一度もやったことない種目ですが、コソっと増やしてみました。また、大会で勢いを失う選手は大抵アウトラインが衰えるんですね。その場合、顕著に目が行くのが脚です。特に前面、大腿四頭筋ですね。今まではポテンシャルだけでやっていた四頭筋をしっかり鍛えるために、ナイキのスクワット用の靴を新調して取り組んでいます。動きで矯正しようとするとケガをすると思うので、そこは自然に四頭筋に力が入るように踏めるよう、考えました。ハムが強いんですよ。スクワットでしゃがんだときにも、つま先を浮かすことができますし、レッグプレスも足の置く位置を上の方にしたらハムでガンガン挙げられちゃいます。スクワット用のシューズはカカトが高いので、強制的に前重心になり四頭筋に勝手に入るようになります。かなり良いですよ。

――他の競技にも目をやり、取り入れられるものは何でもという貪欲さですね。他には何かありますか?
松尾 この年齢になると、怖いのはケガです。ケガ防止の観点から筋膜リリースをしっかりと、トレーニング前後に行うようにしています。ローラーを使って身体の硬い部分、自分は肩周りや、ヘルニア持ちなのでお尻周りなど、しっかりと解して開始し、そして終えるというように心がけています。トレーニングを年間200回くらいするわけですから、その時々にやればそこそこ解れるだろうと思っています(笑)。

ノーストレスでオフも減量食!

――もう減量に入っていると思いますが、いかがですか?
松尾 減量期間は長距離を走っているようなものだと思うんですが、今まで毎年200㎞走っていたところを、今年は100㎞位しか走っていない感覚なんですね。アジアに出させていただいたり、オフが3ヵ月とかだったので、そこでストレスがかなりありました。でも今回はオフが長かったおかげかストレスフリーでずっとクリーンなものを食べ続けてきていて、今すごく調子いいです。

――将来的にはやはり頂点を目指しますか?
松尾 自分のポテンシャルは、自分が一番よく分かってます。Mr.日本を獲れるような器ではないことは自覚しています。それを弱気と捉えるか、冷静に自分を見つめたときに「そうだろ」って思っている自分がいますので、そこはそこで。今年はひと桁を狙って精進します!

――ありがとうございました!

2019年に、念願のファイナリストに入った松尾選手。「山をひとつ登れば、次が見えてくる」と、今年はひと桁台を目標とする。そこに到達するためには何が必要かをしっかりと考え、そして地道に取り組む姿には頭が下がり、決して大口を叩かず身分をわきまえた謙虚な姿勢に感銘を受けたひとときだった。

【写真】松尾幸作選手の大迫力のトレーニング

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