スパイダーマン
子どものころは誰もが憧れたスーパーヒーローだが、腹筋の強化を図るために、ぜひスパイダーマンになりきってみよう。と言っても、這うようにして壁を上り下りするわけではない。這うように床を移動するのだ。移動せずにその場で動作を繰り返すこともできる。試してみると、この動きが体幹部全体を刺激するハードな種目であることが分かるはずだ。
スタート姿勢
プッシュアップ(腕立て伏せ)の姿勢をつくる。このとき両足は腰幅程度に開いておくようにする。
動作
プッシュアップのボトムポジションのように肘を曲げて体を沈める。床に体がついてしまわないようにすること。まず、左脚の膝を曲げながら左肘に近づける。次に右膝を曲げながら右肘に近づける。こうして左右交互に膝を曲げて肘に近づけながら、床を這うように移動する。移動するスペースが確保できない場合は、曲げた膝を元の位置に戻すようにしながら交互に行う。動作中は尻を高く持ち上げることはせず、身体の背面は常に平らに保っておく。
マウンテン・クライマー
先のスパイダーマンでは片膝を曲げて同じ側の肘に近づけたが、この種目では片膝を曲げながら同じ側の胸に近づける動作を左右交互に繰り返す。水平面で岩山を登るようなイメージだ。 動作中、体幹部をしっかり緊張させておかないと姿勢が崩れる。水平面だから問題はないが、これがもし本当に垂直に近い岩山に張りついて登る場面だとしたら、少しの気の緩みも命取りになるはずだ。体幹部を安定させながら、力強く四肢を使って出力する動作は、特に短距離・中距離走競技を行うランナーたちに役立つはずだ。
スタート姿勢
通常のプッシュアップのスタートポジションをつくる。両足は腰幅程度に開き、腕はしっかり伸ばしておく。
動作
まずは左膝を曲げながら、胸の左側に引きつけていく。ちょうど陸上競技の練習でもよく行われるもも上げ動作のイメージだ。左膝を元に戻したら、今度は右膝を胸の右側に引きつけて戻していく。これを繰り返していく。なお動作中は決して肩を丸めたり、首をすくめたり、上背部を持ち上げたりしないこと。
アイソメトリックVホールド
小中学校の体育の授業で、プッシュアップ(腕立て伏せ)やシットアップ(腹筋運動)に加えてVシット(V字座り)をやらされたという人もいるだろう。ここではVシットによく似たVホールドを行う。体幹部を強く緊張させる点は同じだ。胴部を構成するさまざまな筋肉が強くなるので、さまざまな姿勢からボールを投げたり、打ったり、蹴ったりするような競技アスリートには特に有効だ。
スタート姿勢
床にあお向けになり、両足は揃えて伸ばしておく。両手は体の横に置いておく。
動作
上半身を床から浮かせ、同時に両脚を揃えたまま持ち上げていく。このとき膝は終始伸ばしておく。こうして上半身と下半身とでV字をつくったら、床と水平になるように腕を伸ばす。この姿勢をできるだけ長く保つわけだが、そのためには体幹部を強く収縮させ続けなければならない。注意すべきことは、動作中背中を丸めたり、反らせたり、肩を前に丸めたりしないということだ。
ドッグポインター
ドッグポインターという名前は知らなくても、見たことがあるという人は少なくないはずだ。この種目は体幹部の筋力を向上させ、姿勢を安定させるために必要なバランス力をも高めてくれる。動作をコントロールしながら丁寧に行いたい。動作中は体幹部を強く緊張させておくことを忘れないように。
スタート姿勢
床に四つん這いの姿勢をつくる。このとき、背中と腰が同じ高さになるようにし、腰を反らせたり丸めたりしないこと。両足は腰幅程度に開いておこう。また、手のひらはしっかり開いて床につけておく。
動作
まずは右腕と左脚を床から浮かせてまっすぐに伸ばす。このとき、伸びた右腕、背中、腰、左脚は一直線上に並ぶようにする。腰が落ちたり、脚が下がったりしないように。指先からつま先までピンと伸ばして一旦停止する。そこからゆっくりスタート地点に戻る。今度は左腕と右脚を床から浮かせて一直線に伸ばしていく。これを繰り返していこう。このとき注意するのは体幹部をギュッと緊張させ、姿勢が崩れないように保持するということ。
スイスボール・ニータック
体幹部全体のスタビリティ能力を高め、同時に腹筋下部の強化を図るのがこの種目の目的だ。スイスボール(バランスボール)を使い、フルレンジでの動作を確実にマスターしよう。この種目で特にきつく感じるのはフィニッシュの直前だ。最後の数センチが非常につらく感じられるはずだが、最後までしっかり動作をコントロールしよう。この種目は特にフォームを重視して行うこと。
スタート姿勢
この種目は難易度が高いので、初めての人は慎重に行おう。まずはスイスボールにつま先を乗せた状態でプッシュアップのスタート姿勢をつくる。腕を伸ばし、両手を床につけ、体幹部を緊張させて、ふらつかないようにする。
動作
両膝を曲げながら、つま先を乗せたボールを手前に転がすようにして引きつける。両膝を胸に引きつける際は、尻を高く上げようとせずに、腹部の筋肉を収縮させることに集中し、それによってボールが膝と一緒に胸に近づくようにすること。膝をしっかり胸に近づけたら、そこから丁寧に脚を伸ばしてスタート地点まで戻す。
パイク
スイスボールを使った体幹部のトレーニング種目は多いが、どの種目でも共通しているのは体幹部のスタビリティを意識したものであるという点だ。スタビリティとは安定性のことで、姿勢の安定のために筋肉を働かせる。そのための種目だということだ。このパイクもまた体幹部を強化し、安定性を高める効果的な種目だが、初級者にはお勧めできない。この種目に挑戦するのは基本的な筋力を養ってからだ。まだトレーニング歴が浅く、体幹部の筋力に自信がないという人は、ひとまずこの種目は避けておこう。
スタート姿勢
プッシュアップのスタートポジションをつくり、両足のつま先をスイスボールの上に乗せる。腰が落ちたり、尻が上がったりしないように、後頭部、背中、腰、ハム、カーフ、カカトが一直線になるようにする。
動作
肘、膝は伸ばしたまま、体幹部をしっかり緊張させて骨盤を丸めていく。骨盤が丸まるにつれて両脚が上半身に引きつけられ、同時にボールが上半身に近づいてくるはずだ。このとき、体幹部の筋肉が収縮する速さと、骨盤が丸まる速度に合わせてボールを上半身に近づけるようにする。このリズムが崩れると、脚だけでボールを体に近づけようとしてしまい、そうなるとボールからつま先が落ちてしまう。尻を高く持ち上げ、骨盤を丸めて、体幹部の筋肉を十分に収縮させたところがフィニッシュポジションだ。ゆっくり元の位置に戻して1レップの完了である。注意してほしいのは、動作中、腕は常に伸ばしたまま床につけ、膝も曲げないこと。そして胴部の筋肉の収縮だけで動作を行うようにすることだ。