テクニックを用いるというと、なんだかベテランになったような気がしてくる。これから紹介するテクニックはワークアウトの強度を高めるためのものであり、対象筋を限界まで追い込むために用いられるものばかりだ。それだけに、どれを用いる場合も慎重に行うこと。やり方を正しく理解し、自己流で行わないようにしよう。
文:Sarah Chadwell, NASM-CPT
翻訳:ゴンズプロダクション
5つの高強度テクニック
選択したテクニックを全ての種目で行うわけではない。紹介するテクニックは、選択した種目の最後のセットに限定すること。さらに言えば、採用する高強度テクニックはひとつで、それを2、3週間は続けてみる。その後、別のテクニックを選択してまた2、3週間続けるようにしよう。
ネガティブ法
トレーニング用語にポジティブとネガティブという言葉がある。ポジティブはウエイトを持ち上げる動作、ネガティブは下す動作を指す。ネガティブ法は下ろす動作をメインにしたやり方だ。パートナーにウエイトを持ち上げてもらい、下ろす動作だけをトレーニーが行うのだ。パートナーがいないときは、下ろす動作をゆっくりと時間をかけて丁寧に行うようにする。試してみると分かるが、下ろす動作をゆっくり行うのは猛烈にきつい。この方法を採用すると1セットで得られる疲労度が格段に高まる。
ドロップセット法
ドロップセット法はランニング・ザ・ラック法などと呼ばれることもある。このテクニックはまずは比較的、高重量で動作を開始し、限界がきたらすぐに少し軽めの重量に持ち替えて動作を再開する。再び限界がきたら、さらに軽い重量に持ち替えて限界まで追い込むというものだ。重量を持ち替えるときはできるだけ素早く行う。ここで休んでしまってはこのテクニックの効果が半減してしまう。重量の持ち替えは4、5回行うので、例えばダンベルを用いた種目では、まるでダンベルラックを端から順番に移動して動作を続けるので「ランニング・ザ・ラック(ラックを走る)」という呼び方もあるのだ。もちろん、ウエイトスタックのマシンを使えばもっと簡単に重量の変更ができるので積極的に活用してみよう。
スタティックホールド法
スタティックとは静的、静止した状態で、ホールドは保持すること。つまり、スタティックホールドとは動作を伴わず、静止した状態を保持することだ。それでどうやって筋肉が刺激を受けるのか疑問に思うかもしれないが、このテクニックを種目のスティッキングポイントで行うと、ウエイトを保持しているだけなのに強烈な刺激が得られるのだ。スティッキングポイントとは、種目の可動域の中で最も発揮できる力が弱い地点のことだ。動作を止めてウエイトを保持するというのは、その姿勢のまま対象筋をギュッと緊張させ続けるということ。この緊張状態を保つことが筋肉への強い刺激になる。スティッキングポイントでの静止姿勢を保てなくなったら、ウエイトを下ろしてセットを完了させる。例えばプッシュアップなら、ボトムの地点がスティッキングポイントになるので、身体をできるだけ床面に近づけた姿勢を可能な限り長く保つようにしてみる。これがスタティックホールド法である。
ポーズ法
これを強度を高めるためのテクニックと呼ぶかどうかはともかく、動作の難易度を高めるという意味では間違いなくひとつのテクニックだ。文字どおりポーズ(停止)するわけだが、停止することで反動が使えなくなり、対象筋の出力のみで動作を続けなければならない。 例えばスクワットのボトムポジションで一旦停止し、それからトップまで立ち上がってみる。ボトムで停止しないやり方に比べると、はるかに動作がきつく感じられるはずだ。また、一旦停止することで実力以上の力を発揮することがないのでケガの予防にもなる。ポーズ法はあらゆる種目に用いることができるのでぜひ試してみよう。
パーシャルレップ法
どの種目もフルレンジで行うことが基本だが、このパーシャルレップ法は可動域を制限したテクニックだ。つまり、基本的な約束事に反するのだが、この方法がどうして強度を高めることになるのか。それは可動域を制限することで、フルレンジでは行えないような高重量のリフティングが可能になるからだ。このようなテクニックを限定的に採用することで、普段は得られないような衝撃が筋肉に伝わり、発達反応を起こすスイッチになる。例えばバイセップスカールでパーシャル法を取り入れるなら、トップから肘が直角になるところまでウエイトを下ろしたところをボトムポジションにして動作を繰り返すようにする。