目標への思いが真剣であればあるほど、ゴールへのプロセスは綿密に組んでいく必要がある。もちろん、ありきたりのスケジュールを使うのではなく、自分の目標に最適な予定管理が必要になってくるはずだ。例えば「もっと筋肉がほしい!」と真剣に思っているトレーニーなら、ぜひ自分の手で一からピラミッド法を取り入れたプログラムをつくってみよう。今回は筋量アップのためのピラミッドのつくり方を紹介していくことにする。
文:Sarah Chadwell, NASM-CPT
翻訳:ゴンズプロダクション
筋量を増やすためのトレーニングプログラムを探している人は、ぜひ今回を機に自分でプログラムをつくってみよう。どんな目標を持っている人でもゴールを目指すには計画が必要だ。闇雲にジムに通い、好きな種目だけを次から次へと行っても、それでは継続的な筋発達を得ることはできない。最初のうちはそれでも何らかの結果を得ることができるかもしれないが、そのうち必ず頭打ちになる。いわゆるスランプやプラトーと呼ばれる停滞状態だ。
ゴールに向けてしっかり計画を立ててきた人なら、たとえスランプになったとしても、トレーニングの内容に調整や修正を加えて再スタートを切ることができるだろう。しかし、やりたいことだけを漠然とやってきたトレーニーは、何をどうすればいいか分からない。人によっては高額なコーチ指導を受けたり、オンラインでトレーニングプログラムを専門家につくってもらうという人もいるだろう。しかし、プログラムをつくるための基礎的な知識があれば、筋力を伸ばし、筋量を増やし、体脂肪を減らし、コンディションを整えていくことは決して難しいことではない。というわけで今回は基本中の基本であるピラミッド法を解説していきたい。
ピラミッド法とは
ピラミッド法(ピラミッドトレーニング)は、ピラミッドのような三角の形を形成するトレーニング法のことである。ピラミッド法には2つの「形」があり、ひとつはアセンディング・ピラミッド(上りのピラミッド)で、もうひとつはディセンディング・ピラミッド(下りのピラミッド)だ。
【アセンディング・ピラミッドの特徴】
①1セット目:軽い重量で12レップ
②2セット目:少し重量を増やして10 レップ
③3セット目:さらに少し重量を増やして8レップ
④4セット目:もう少し重量を増やして6レップ
⑤5セット目:高重量で4レップ
【ディセンディング・ピラミッドの特徴】
①1セット目:高重量で4レップ
②2セット目:少し重量を減らして6レップ
③3セット目:さらに少し重量を減らして8レップ
④4セット目:もう少し重量を減らして10レップ
⑤5セット目:軽い重量で12レップ
※ディセンディング・ピラミッドの5セット目は軽い重量を使うが、最後の2レップがきつく感じられる重量を選択する。
【アセンディングとディセンディングの組み合わせ】
トレーニーによってはアセンディング・ピラミッドを行ったら、そのままディセンディング・ピラミッドに移行するやり方で行っている場合もある。その場合はかなりのトレーニング量になるので、ワークアウト全体の量をチェックし、さらには週単位でのトレーニング量もチェックして調整を加える必要がある。
筋発達の基本
なぜこのトレーニング法は効果があるのか。まず第一に、ピラミッド法はアーノルド・シュワルツェネッガーが愛用していたトレーニング法である。本来ならそれが全てと言っても過言ではないが、実は、このトレーニング法についてはこれまでに多くの科学的な研究が行われていて、効果があるという数多くの証拠が示されてきた。過去の研究の話をする前に、まずは筋発達がどうして起きるのかを確認しておこう。
【どうすれば筋発達するのか】
筋肉が刺激を受けることで発達のための反応が起きる。ところが、同じ強さの刺激がずっと続いてしまうと、筋肉にとってそれは刺激ではなくなっていく。筋肉が一定の刺激に慣れてしまうからである。継続的に筋肉を発達させようと思うなら、筋肉を刺激に慣れさせないようにすること。そのためにできることが漸増負荷運動である。
【漸増負荷運動とは】
少しずつ負荷を強めながら運動を行うことだ。これにより、筋肉は常に前回より少し強めの負荷を受けて発達反応を示す。では、どうすれば負荷を少しずつ強めていくことができるのか。使用重量を増やすことももちろんそうだが、それ以外にもレップ数やセット数、種目数を増やすことも負荷を強めるためにできる事柄である。あるいは、ワークアウト頻度を変えてもいいし、トレーニングテクニックを使うことで運動量や使用重量を変えずに刺激の強さを変えることもできる。
【刺激を変えていく】
数カ月間、ほぼ毎日ジムに通ってトレーニングを行っている人がいるとする。彼はどの種目もきっちり3セット×10レップ行ってきた。さて、数カ月後、彼の体はどれだけ変わっただろうか。最初に比べたら確かに少しは変化したかもしれないが、ここしばらくは何の変化も得られていないに違いない。なぜなら、彼の筋肉はプラトー(停滞状態)に陥ってしまったからだ。
同じ刺激に適応してしまい、刺激が刺激とならず、結果的に筋肉は新たな発達反応を示さなくなったのだ。にもかかわらず、もし彼がこれから先も同じトレーニングを続けたとしたらどうだろうか。もちろん変化など望めない。ワークアウトを調整していかなければ筋肉はただエネルギーを消費するだけになってしまう。