幅も厚みも備えた胸をつくるのはそう簡単なことではないが、形の整った大胸筋には誰もが憧れる。あらゆるアスリートにとって大胸筋の強化が重要であることは間違いない。そのため、大胸筋強化のためにどんな種目をどう行うのがいいかを知っておくことは必要だろう。今回は大胸筋を効率よく強化するために役立つ種目を紹介していく。ただ、特殊な器具が必要な種目はジムに行かないとできないので、数ある種目の中からダンベル、バーベル、フラットベンチ台、インクラインベンチ台などの基本的な器具のみで行える種目を今回は選択してみた。これなら自宅に作った簡易なトレーニング空間でも行えるはずだ。
文:Nate Johnson, CPT, CSCS 翻訳:ゴンズプロダクション
ベンチプレス
実力次第で周りのトレーニーを威圧できるとか、怪力を自慢できるという見栄っ張りな気持ちを満たしてくれる種目という意味でも人気だが、胸筋の発達に大きく貢献することは間違いない。東京大学が2012 年に行った研究によると、ベンチプレスでの挙上重量が伸びると、胸筋の厚みが比例して増していくことを確認したそうだ。つまり、ベンチプレスで挙上重量を増やすやり方を続けることは、胸筋の筋肥大につながるということである。基本的な種目なのでマスターしてほしい。
インクライン・ベンチプレス
インクラインベンチ台を使うことで、鎖骨に始点を持つ上部胸筋が主な刺激を受ける。上部胸筋が発達すると何がいいか。まずは大胸筋の形が良くなる。下部胸筋が発達しすぎると、垂れたような胸になってしまうが、上部胸筋が発達していると洗練された印象を与えることができる。 また、インクラインベンチでのベンチプレスは肩関節への負担が少ない。現在肩をケガしている、特にローテーターカフを痛めているという人でも、インクラインベンチプレスならできるというケースもある。
インクライン・ダンベルフライ
可動域が広く、胸筋をスタートからフィニッシュまで強く刺激する種目と言えばインクライン・ダンベルフライだろう。より良い胸筋に仕上げるために、この種目は長きにわたり、多くのボディビルダーたちに採用されてきた。 特にこの種目の人気が高まったのはアーノルド・シュワルツェネッガーがよくこの種目を行っていたからだ。彼もまた、非常に広い可動域を使って動作を行っていた。
インクライン・ダンベルプレス
大胸筋の見栄えが悪いことに悩んでいる人にはお勧めの種目だ。この種目で上部胸筋を肥大させ、胸筋の輪郭を強調し、かっこいい形の胸筋を完成させよう。ブラッド・ショーエンフェルド博士によると、インクライン・ダンベルプレスの優れている点は、大胸筋を構成するヘッドの中で、上部胸筋と言われる鎖骨に始点を持つ部分を強く刺激することができるからなのだそうだ。この部分がダイレクトに刺激を受けて発達すると、胸筋全体の輪郭がはっきりし、鎖骨から胸筋が盛り上がって理想的な形の胸になる。
ワイドグリップ・プッシュアップ
プッシュアップは上半身の種目で、もっとも恩恵を受けるのは胸筋だ。このプッシュアップをワイドグリップの手幅で行うことで、より胸への刺激を高めることができる。ヨ・シン・キムとド・イヨン・キム、ミンション・ハの三氏によって2016 年に行われた実験によると、一般的なプッシュアップよりもワイドグリップ幅で行ったほうが、より前鋸筋が刺激されたそうだ。
ディップス
ディップスでは、特に大胸筋の外輪郭を強調することができる。外側の輪郭が強調されると、ウエストが引き締まって見えたり、肩幅を広く見せたりすることができるので、より芸術的な上半身に近づけることができる。さらに大胸筋の筋力も向上する。ウエイトを使ったさまざまな種目でもプラスになるので、筋発達だけを目的にしていないアスリートにとってもおすすめの種目なのだ。